宮本信子 「伊丹十三4K映画祭」上映記念登壇イベントに登壇!
TOHOシネマズ日比谷・梅田にて開催中の「伊丹十三4K映画祭」、第一週目の『お葬式』上映記念登壇イベントが行われ、伊丹映画全10作品に出演する宮本信子が、塚原あゆ子監督と共に登壇しました。
伊丹十三監督全10作品の4Kデジタルリマスター版を上映する特別企画「日本映画専門チャンネル presents 伊丹十三 4K 映画祭」。TOHOシネマズ日比谷・梅田にて2月21日~5月1日の期間、各作品1週間ずつ上映されます。身近なテーマを独自の感性と日本社会への洞察を散りばめながら、鋭い切り口で描いてきた伊丹映画が、最高画質の4Kでスクリーンに甦る本企画。
この日は、前日21日よりスタートとなった『お葬式』(1984年)の上映後に舞台挨拶が行われました。
ステージに登壇した宮本は、「たくさんのお客様にお越しいただきまして、本当にありがとうございます。ここに来る車の中でチケットが完売していると聞いて、伊丹さんがどれほど喜んでいるかしらと考えていました。40年も経って、昔の映画がスクリーンで上映されるという、これほど嬉しいことはないです」と挨拶し万感の思いで笑顔を見せました。
51歳のときに『お葬式』で初めてメガホンを取ったという伊丹監督。第一声の「よーい、スタート!」の掛け声に感動したと振り返る宮本。伊丹監督がわずか1週間で脚本を書き上げたという本作が作られたきっかけは、宮本の父親のお葬式だったようで、「火葬場の煙をふたりで見ていたんです。そうしましたら、伊丹が『おじさんの映画に出ているみたいだね。これは映画になるね』と話し、ちょっと間があって『映画を作ろう!』と言ったんです」と突然のひらめきだったエピソードを明かしました。そして、「父が亡くなったことはそっちのけで、その年は脚本を書き、『あなたもメモしなさい!』と言われて私はメモをして、彼は練って練って、そうして作られたものです」と振り返りました。続けて、「でも言っておきますけど、愛人の方は父のお葬式には来ませんでしたよ」と作品の内容に絡めてユーモアを交えて話し、会場の笑いを誘いました。
また、撮影現場での伊丹監督について、「デザイナーやエッセイ、俳優など、いろんなことをやってきて、『やっと自分でこれだというものを見つけたんだよ。こんなに楽しいいことないよ』と話していました。それで、好きなお酒やタバコもやめ、頭が鈍るからとご飯もあまり食べなかったんです。本当に嬉しそうだったんですよ」と伊丹監督の仕事への思いを振り返り、微笑ましい表情を見せながら語りました。
そして、伊丹監督作品のファンだという塚原監督は、「それぞれのキャラクターをよくもこんなに練り上げたなと思うほど素晴らしいです。抑揚のない葬儀屋さんだの、お金のことだけ言うマネージャーさんだの。それを第一作から思いついたことが素晴らしいです」と作品の魅力を語りました。
塚原監督とは昨年放送されたドラマ『海に眠るダイヤモンド』と初めてご一緒したということで、塚原監督は宮本について「『監督、私こんなこと考えてきたわ』と仰りながら現場に入ってこられるのが幸せで。それを言われたら、どの監督もキュンとくるんじゃないかなと思います。一緒に考えて挑んでいける感じが本当に素敵でした」と印象を語りつつ、「VTRが回ると思いがけないことをなさるんです。最終回で軍艦島を走っていくシーンがあるんですが、まさか走られると思わず、スタッフもみんな驚きました。『わ~、走って行かれた!』と(笑)本当に楽しかったです」と宮本のアドリブに意表を突かれたことが語られました。
一方で、塚原監督の演出について、宮本は「ものすごく決断が速いんです。撮影しているときに編集まで緻密に考えていらっしゃると思うんですが、余分なカットを撮りません。はっきりイメージがあって本当に頼もしくてかっこいいんです。すごく才能のある方だなと思いました」と話し、さらに「話ができるんです。『こうしたらどうでしょう?』と言うと、『いいですね。じゃあこうしましょう』と。そういうコミュニケーションがすごく大事で、それができたことが幸せでした」と強い信頼関係で撮影に臨めたことを明かしました。
これに関連して、伊丹監督の演出方法については、「リハーサルの時は違ったことをするのは許してもらえました。『そうきたか!』と言われるとすごく嬉しいんです」と語りつつ、「本が完璧で、てにをはを間違えちゃいけないので、一語一句、正しくそれを自分のものにして芝居しなきゃいけない。そういう監督でした」とコメントしました。
最後に、「伊丹さんが亡くなって、27年になります。それなのに、こうした企画を立ち上げてくださり、そして皆さんが伊丹映画のファンでいてくださり、本当に幸せなことだったと思っています。忙しい中駆けつけてくださった塚原監督、この企画を実行してくださった日本映画専門チャンネルの皆さん、上映してくださるTOHOシネマズの皆さん、本当にお世話になりました」と感謝の思いを込めてイベントを締めくくりました。
「日本映画専門チャンネル presents 伊丹十三 4K 映画祭」は、TOHOシネマズ日比谷・梅田にて、5月1日まで10週連続で上映中です。
この機会に、是非劇場でご覧ください!
【「日本映画専門チャンネル presents 伊丹十三 4K 映画祭」上映スケジュール】
『お葬式』2月21日(金)~2月27日(木)
『タンポポ』2月28日(金)~3月6日(木)
『マルサの女』3月7日(金)~3月13日(木)
『マルサの女2』3月14日(金)~3月20日(木祝)
『あげまん』3月21日(金)~3月27日(木)
『ミンボーの女』3月28日(金)~4月3日(木)
『大病人』4月4日(金)~4月10日(木)
『静かな生活』4月11日(金)~4月17日(木)
『スーパーの女』4月18日(金)~4月24日(木)
『マルタイの女』4月25日(金)~5月1日(木)
詳細スケジュールはこちら▼
TOHO シネマズ 日比谷( https://hlo.tohotheater.jp/net/schedule/081/TNPI2000J01.do)
TOHO シネマズ 梅田( https://hlo.tohotheater.jp/net/schedule/037/TNPI2000J01.do)
(2025/2/22)