全国公開中の映画『夜明けのすべて』の公開記念舞台挨拶がTOHOシネマズ日比谷にて行われ、本作で主演を務める上白石萌音が、同じく主演の松村北斗さん、共演するりょうさん、光石研さん、そしてメガホンを取った三宅唱監督とともに登壇しました。
　
本作は、2019年に本屋大賞を受賞された瀬尾まいこさんの原作小説を映画化した作品です。月に一度PMS（月経前症候群）でイライラが抑えられなくなる藤沢美紗（上白石）と、パニック障害を抱え生きる気力を持てない山添孝俊（松村さん）のふたりが、職場の人に支えられながら、恋人でも友達でもない同志のような特別な関係性で、お互いを救い合う物語です。

いよいよ映画の公開を迎え、上白石は「この映画に携わった一人として、また一足早く映画を観た一人としても、早く公開されないかなと思っていたので、とても嬉しいです。少しでも皆さんの心が温まっていたらいいなと思っています」と笑顔で挨拶しました。

お互いを尊重しながら柔らかい雰囲気の中での撮影だったということで、現場でのエピソードの話題に。松村さんは、山添さんと藤沢さんが洗車するシーンを挙げ、本番前のテストの時の裏話として「藤沢さんは気が立っているタイミングで、山添が車を拭いたときにもの凄く大きな音で『キュッー』と鳴ったんです。その瞬間、藤沢さんにギョッと睨まれたのがすごく印象的で爆笑でした」とエピソードを披露。上白石は思い出して笑いながら、「藤沢さん的にはかなり嫌な音だったので、睨ませていただきました（笑）」とその時の真意を明かしました。

一方で上白石は、りょうさん演じるお母さんとのシーンはどれも大好きなようで、「お母さんが手袋を編んでくれるシーンがあって…この親子素敵だなと。お母さんからしか貰えない温もりってあるじゃないですか。このお母さんがいるから藤沢さんがいるんだなと感じました」と語り、りょうさんとこの日共に登壇できた喜びを伝えていました。
また、光石さんとのエピソードとして、「本番直前で待っているときに光石さんは休憩されていて、『はい本番。よーい！』と言われた瞬間、役で持っている小さなライトを私の顔に向けてこられて。あれって…（笑）」と光石さんの小さないたずらを暴露。「それで光石さんがケラケラ笑っていらして。そのおかげで心が解れて撮影に臨めました」と感謝を伝えるも、松村さんから「２歳児のいたずらエピソードですか？」と突っ込まれると、光石さんは「62歳児です！」と返し、会場は爆笑に包まれました。

そして、本作では“他人を思いやり互いに歩み寄ることの大切さ”が一つのテーマということで、日々の生活で心がけている思いやりの話題に。松村さんが「みんなでお喋りしながら一斉に移動するときに段差があることに気付くと、『気を付けて』と言葉で伝えるのではなく、わざとこけた振りをして膝を曲げる」という仰天の心がけを披露。会場が笑いでざわつく中、司会者からそういう場面はあったか聞かれた上白石は「すみません、私が察知できていなかったです！転ばずにいられて、松村さんに感謝ですね（笑）」と話し、笑いが収まらない様子でした。
その一方、上白石は劇中で藤沢さんがティッシュ配りをするシーンに触れ、「ティッシュを受け取ってもらえるとめちゃめちゃ嬉しいんです。その一瞬で、優しさってもらえると思っていて」と役を通しての気付きを明かしつつ、「私も誰かにとって良いお客さんでいたいです。お店などで一日中接客している方に、今のお客さんいい人だったなって思ってもらえるように、ちゃんとお礼を言うとか。優しさを置いていける人になりたいです」と自信の心がけを語りました。

この日は、サプライズで三宅監督から主演の松村さんと上白石への感謝の手紙が司会者から代読されました。想いのこもった温かい言葉が並ぶ手紙を聞いた上白石は、初めて監督とお会いするより前にも監督から長文の手紙を頂いたことを明かし、「その時から監督に心を掴まれっぱなしです。監督はずっとずるいです」と感銘を受けた様子でした。「私は監督の言葉が大好きで、必ず言葉にして伝えてくださって。素敵な言葉をお持ちということは、心と器が素敵なんだと思います。私たちはこの監督が大好きで、この監督のもと、本気になって映画を作っていたんだなと。監督に出会えて良かったです。後で原本をください！」と感謝の想いを込めて、監督の人柄を伝えました。

最後に、「生きていればいろいろとありますよね。私もありますし皆さんもあると思います。どんな苦しいときも、何かにそっと心を支えてもらえる瞬間って必ずあると思うので、この映画が誰かのその瞬間を担えたら嬉しいです。もはや、この映画じゃなくても、今辛い人にはそういう瞬間が訪れることを心の底から願っております」とメッセージを送り、舞台挨拶を締め括りました。

映画『夜明けのすべて』は、大ヒット上映中です。
是非劇場でご覧ください！

（2024/2/10）